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評価:
吉永 嘉明
幻冬舎
¥ 560
(2008-10)
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風邪が治らないので寝たきり状態。寝る、読書、寝る、読書の繰り返し。
さっき見た、きのこが裸に生えてるきのこ人間襲来の夢は恐ろしかった。
しめじやえのき茸など、ジャンルを問わず茸類が身体に直接生えてるんじゃが、
きのこ人間はその茸が生命の源らしく、すごい勢いでどんどん引っこ抜かないと、
こっちが抹殺されてしまうのだ。汗だくになってぶちぶち茸をひっぱがすと、
しゅわわわーっと弱ってゆくのだが、なんせ相手は集団なのである。
そのうちアタマがくらくらしてきて天井が回り出した。
ここはドコ?ワタシはだれ?
そして目が覚めました。
熱が出てるときって変な夢見るよなー
で、上司、友人、妻、と3人に相次いで「自殺された」ライターの手記なのね。
そもそもサブカル系のノンフィクションライター、編集者が著者なので、
どこか現実味がなく小説かドラマのようなアシッドワールドが展開されるが、
妻を亡くしてまもない時期に書かれたせいもあってか、
文章があちこち飛んだり、同じような文が何度もしつこく出てきたり。
全く気持ちの整理がついていないのに無理につけようと奮闘したりするのが、
文章構成に多大な影響を及ぼしていて、読みづらいのは仕方ない。
それより自殺されちゃって可愛そうな僕をなだめてくれ、っちゅーオーラ。
はっきり文章に書かれていなくてもじわじわぁと伝わってくるのが
正直、なんだかうっとおしかった。というか、自死遺族のほうが自殺者よりも
何倍も苦しんでいる、という一節があったような気がするが、
何故そんなことが分かるのか。そんなん比較でけんだろ。
結局「文庫版あとがき」にあるように、読者の半数からは、
亡くなった妻への同情票が集まる始末。ワタシも同じクチだ。性格も近そうだし。
だいたい、違法合法ドラッグと過度のアルコールを日常的に摂取しながら、
無理矢理ハイにして仕事をやっつけていけば、行きつく先なんて見えている。
だから、非常に感情移入しにくかった。
実は、以前この本をどこかで読んだことがあったようなのだが(本棚にはない)、
読んだことさえ忘れてしまっていた。それほど心の琴線に触れなかったのだな。
しかし、思いがけず出くわした、敬愛する春日武彦氏の解説の素晴らしさはどうだろう!
たかだか7ページで、200ページ余りの本文よりもよっぽどインパクトがあったw
自殺という重いテーマであるのに、あれだけ本書を一刀両断に切り捨て、
しかも胸のすく解説を、ワタシはこれまで読んだことがないwあっぱれである。
読者をぐいぐい引き寄せる筆致も、著者には申し訳ないが文章力の差は明白。
そして、著者がこの文庫本解説掲載を承諾したというのもまた謎である。
春日センセの知名度だけで編集側が押し切ってしまったのだろうか。
センセが著者の不幸について自分の責任だとするくだりはもちろんのこと、
「ついでにテクノ/トランスも大嫌いである」の一文で盛大にフイタ。
ワタシも大嫌いです。エエ。
逆説的だが、春日センセ信奉者にはマストな作品。星は解説のぶん。
たった数ページだけど(だからこそ?)春日節炸裂だったわ。ぁぁすっきり。
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